2017.05.25 藍染のこと
くるみとさくら

プロジェクトはゆっくりとそして着実に進んでいます。

今日は藍のことを学ぶために、滋賀の「紺喜」さんにて、施主のNさんと藍染体験です。


知多半島からは2時間とちょっとで到着。「紺喜」さんは、明治の初めころから始まり、現在のご主人で四代目とのこと。


これが藍です。いわば苗でしょうか、実生とのこと。


こちらがもう少し成長した藍。一年草で、美しく花が咲くそうですが、藍染の染料となる蒅(すくも)にする為には花が咲く前に収穫するそうです。花が咲くと葉から色が抜けてしまうのでしょうね。

いろいろお話伺って、驚いたのですが、こちらでは藍を畑で育てて蒅を自ら作っているそうなんです。一年分を作るのですか?と伺うと、それより少し多めに作るのだそうです。不作の年に備えてのことだとか。蒅は買ってくると結構なお値段なんだそうですよ。

さて、いよいよ染めの体験。私は着古したシャツを持参して、藍染に挑戦です。


藍甕がいくつも並んでいる染め場。冬場は甕と甕の間の空間に薪をくべて染液の温度を調節するのだそうです。

藍甕は高さが1mほどで、底は平らではなく丸く窄んでいるそうです。甕は使ううちに割れることもあるとか。廃業した藍染の工房から、甕を譲り受けることもあったそうです。

現在使われているのは10の甕で染液が入っているのはその内7つ。蒅が新しいほど濃く染まります。染めて色が移っていくので、古くなるほど薄くなっていきます。一番薄い亀が1番で7番が最も濃い甕ですね。染めは1番から各甕2回づつ好みの濃さになるまで繰り返していきます。


これは、1番の2回目。まだまだ淡い色ですね。染液に漬ける時は、シャツの裾から静かに沈む様にします。襟やカフスは袋になっているので浮いて来た場合は沈めます。

染液につけて、空気に触れると酸化して色がつくのですが、一部だけ酸化させてしまうと、染めにムラができてしまうのです。


これで、まだ3番です。なかなか、手間のかかるものです。


結局、私の場合は5番まで繰り返して、ここまで染まりました。都合10回染めたことになります。

染めた後は、井戸水で余分な染料を洗い流して、洗濯機ですすぎ、脱水して乾かします。

水道水ではなく、井戸水がいいそうです。

同行したNさんは、暖簾に絞りをしたものを染めていました。その絞りを解く間、ご主人からお話を伺うことができました。

ご主人のお話は、ユーモアのセンスに溢れ、まるで落語を聴いているかの様な錯覚に陥りまして、久しぶりに大笑いしました。
また、83歳という年齢(矍鑠とした身のこなしからもっとお若く見えましたが)から想像される厄介な頑固さは微塵もなく、柔らかな思考が白の持ち主で、とてもいい時間でした。

紺屋と書いて「こうや」と読むそうです。こちらでは、遠くは茨城からも糸が送られてくるそうです。色の濃さのサンプルが同封されていて、それに合わせて、此方で染めるそうです。近県の人は自分で染めに来られる場合もあるとか。
最盛期は、もっと多くの甕を仕込んで、職人も大勢雇っていたそうですが、今はご主人と奥様で運営されています。


染液に浮かんでいるのが、いわゆる藍の花です。若い染液ほどたくさん浮かんでいました。
10の甕は順次仕込んでいき、7つが常時染めに使われますが、1番の色が抜け切ったら次の甕に移っていくという具合に、順番に回しているそうです。蒅を仕込んで染めに使える様になるまで、二週間ほどかかりとか。

藍を育てている畑は一反の広さがあって、秋に収穫するそうです。収穫も草刈機では向きがバラバラになるので稲刈り機(コンバインではなく、刈り取った稲を束ねてくれる昔の機械)がいいそうで、その後ムロにいれて発酵させて、さらに感想の工程に移るそうです。想像しただけでも大変な作業を、彼らは毎年繰り返しているのです。

蒅は買うと高価らしく、あるところでは4斗(因みに1斗は18Lですね)で20万円するそうです。これが高いのか安いのか、さっぱりわかりませんが、自分で作れば、ずっとお安くできるんでしょうね。

で、ひとつの甕にその蒅はどの位の量が必要なのか尋ねたところ、「それは、あれや、企業秘密や」と返されて、一同大笑い!恐らく決まった量なんてなくて、いつも加減を見て入れる量を調節しているとみました、わたしは。


美しく染め抜かれた暖簾。残念ながら5代目は継がれないそうです。

今回、同行させていただいたNさんはいわばプロの染色家なので、こちらに行って染付をご自身でなさるのは、いわば自然なことなんですが、全くの素人の私にも、大切な染液を自由に使わせていただいたことは、いろいろお話を伺ったあと、冷静になって考えてみると、大変な事なんだと思うに至りました。

藍のことだけではなく、様々な大切なことを教わることのできた、とてもありがたい機会でした。


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